月に選ばれた

第13話

ディラン視点。

小さなノックの音がドアから聞こえ、私を眠りから覚ましたようだった。うめき声をあげながら起き上がると、固い床の上で丸くなって眠っていたことに気づいた。体中が痛むなか無理やり立ち上がり、小さな鏡に近づいて自分の顔を見た。鏡に映る少女が自分だとは信じられないほどだった。目は充血して腫れ上がり、頬と額は汚れていた。昨日の誘拐の際に床に打ちつけた額には大きな痂のついた切り傷があり、左の頬骨には王様に何度も平手打ちされてできた大きなあざが形成されつつあった。

もう一度ノックの音が聞こえ、鍵が回される音に私の頭が素早くそちらを向いた。ドアが開くと、私の目は大きく見開かれた。一瞬のうちに、...