月に選ばれた

第114話

ディラン視点。

「女神よ、力を与えてください…」彼がつぶやくのを聞いたとき、それは何よりも傷ついた。私は彼に対して非常に腹を立てていた。なぜ彼がこれまで私に対してとても素晴らしかったのに、突然また私が苦しむのを見たいと思うようになったのか理解できなかった。まさにその通りだった、すべての狼人間はまったく同じで、サディスティックでナルシスト的なのだ。

少なくとも、ルイスが優しく私の肩をつかみ、目を合わせるまでは、そう思っていた。彼は溜息をついた後、優しくも力強く自分の唇を私の唇に押し当て、繋げた。

まるで彫像のように動かずに立ちすくんだ私を不信感が包み込んだ。目を見開き、息を飲んだ。ただそこ...