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第56話

ダリアの視点

彼らが立ち去った瞬間、私は袖をまくり上げてレモネードスタンドへと急いだ。裏側に着くと、ダリアのバッグが床に落ちているのが見えた。ダリアは絶対に自分のバッグを置き忘れたりしない。どこでも。

スマホのライトを点けると、床に足跡がいくつか残っていた。一歩進むごとに血の気が沸き立つ。もし誰かが彼女を傷つけようとしているなら...

足跡を追っていくと、背の高い木の陰の暗がりから、くぐもった音が聞こえてきた。私はその周りを素早く回り込み、前方にライトを照らした。筋肉は緊張し、体中の細胞が行動に移る準備ができていた。心臓が喉元まで飛び上がった。

二人の男がダリアの上にそびえ立ち、一人が...