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第79話

ルナヤ。

狼は私たちの前に高く誇らしげに立っていた。その身体から放たれるパワーは目まいがするほどだった。狼は唸り、大きく吠えた。アリスと私は敬意を示すために頭を下げた。

「危害を加えるつもりはありません。嵐から身を守る場所をお願いしているだけです」と私は狼に呼びかけた。しばらく沈黙が続いたが、私はあえて頭を上げてその目を見ようとはしなかった。ようやく狼は息を吐き、うなり声を上げ、アリスと私は再び立ち上がった。狼は私たちを睨みつけてから、頭を振ってまた唸った。さらに多くの狼たちが私たちの周りに現れ始めた。白い狼は来た道を引き返し始めた。背後からの軽い突きが、私たちも従うべきだという合図だった。...