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第220話

ウィスキー。

彼に与えられるものは何もない。痛みと死だけ。私は彼の深い海のような瞳を見つめた。彼も全身全霊で私を見返してきた。まるで私を微笑ませるためなら、薪の山に飛び込んで自らを焼き尽くす覚悟があるといった表情だった。彼の長く濃いまつげが、完璧なキャラメル色の肌の上でまばたきし、揺れる。顎の角にある小さなほくろ、豊かで魅力的な唇を持つ幅広い口元。彼の筋肉が私の体に触れると緊張し、ピクリと動く様子。彼の興奮の香りが私を包み込み、欲望と渇望の性的な霧の中へと誘い込む。足の間の部分がズキズキと脈打ち、呼吸の仕方さえ忘れてしまった。建物の反対側から爆発音が聞こえ、彼にかけられた催眠状態から我に返っ...