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第105話

ルナヤ。

アリーゼはエレインを登り続け、崖の縁まであと数センチのところまで来ていた。

「よし」エレインが唸り、私を押さえていた手が離れた。私は身を乗り出してアリーゼの手を掴んだ。両手で彼女の手首と前腕をしっかりと握ったら、自分の体を起こしながら彼女を引き上げ始めた。私の後ろにいた女性は、私が前のめりに倒れないよう腰に手を回していた。いくつかの唸り声と呻き声と共に、アリーゼは崖の縁に戻り、エレインもすぐ後に続いた。エレインの力と強さを甘く見すぎていたようだ。崖に背中を押し付けながら、私はアリーゼの肩に腕を回し、彼女の頭を私の脇の下に引き寄せた。

「女神に感謝だ」私は安堵のため息をついた。アリー...