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第79話

ーヴェラー

私達の上から響く戦いの角笛は耳をつんざくほどの音だ。部屋の壁が全て揺れ、私の心臓は早鐘を打つ。ノアが私たちのところに急いでやってくる。

「彼を図書館に連れていけ。奴らが最後に探す場所だし、必要なら二人が逃げる機会も作れる」ノアがエルデンに告げる。「ヴェラ、君が必要だ」

私がエルデンを見ると、彼は頷く。私はノアの元へ向かい、彼は私の手を掴み、城の正面へと急ぎながらそれを握りしめる。「治療室」と呼ばれる場所の前にいた数人の衛兵を通り過ぎると、ノアはそのうちの一人に近づく。

「南の国境からのあの衛兵はどうだ?」

「意識はあります、殿下。傷は深刻ではないようです」

「やはりな。...