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第38話

ヴェラ視点

本の表紙をじっと見つめる。その細部に魅了されて。古くて埃をかぶり、輝きを失っているように見えるけれど、私はわかっている。これこそ私が探していたものだと。

「さて、この本も、他のどの本も、この図書館から持ち出すことはできませんが、いつでも来ることはできますよ」

「ありがとう」と私は心ここにあらずに彼に告げる。

彼が茶器を片付けて立ち去るのにも気づかなかった。

エルデン評議員との一連のやり取りで、彼が他に何を知っているのか、そしてどうやってその知識にアクセスできるのか考えずにはいられない。私が何者で、何なのかについてもっと知るためには、このお年寄りと友達になる必要があるかもし...