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第37話

―ヴェラ―

後ろから老人の声が聞こえた時、私は椅子から飛び上がりそうになった。それは評議会メンバーのエルデンだった。

「お茶でも飲むかと思ってね」

胸の中で心臓が激しく鼓動し、答える前に落ち着こうと努めた。

「は、はい、お願いします」

彼はティーポットと二つのティーカップが乗ったトレイを持っていて、それをテーブルの中央に置いた。彼は完璧にお茶を注ぎ、私にティーカップを一つ手渡した。彼が本当に目が見えないのか疑わしくなるほどだった。

お茶は新鮮なハーブと柑橘系の香りがして素晴らしい香りがした。

「残念ながら砂糖はないよ、今日では贅沢品だからね」

彼の声に含まれる皮肉は見逃せなかった。彼は静かにお...