最後の精霊狼

第35話

ーヴェラー

翌朝、私は夜明けとともに目を覚ますと、ノアはすでに出かけていた。ナイトスタンドにメモが置いてある。

「ヴェラへ

私のものは君のもの、何でも好きなようにしてくれて構わない。後で会おう。」

シャワーを浴びる時間をたっぷりと取り、温かい水が悩める心を和らげてくれる。どれだけ理解しようとしても、王の行動はまだ私の中でしっくりこない。

髪を洗い、頭皮マッサージを楽しむ。ノアのシャンプーはペパーミントの香りがして、リラックスできる。体も丁寧に洗い、この数日間の汚れを全て洗い流す。

終わると、タオルで体を拭く。鏡を見ると、少なくとも今は休息がとれた顔つきになっている。目の下のクマは薄れ、...