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第17話

「ブラックウッド。ビクター・ブラックウッドだ。」

二人は握手を交わすが、それが私の最後に見た光景だった。なぜなら私はまた別のビジョンへと運ばれてしまったからだ。しかし今回は、パックから見覚えのある狼たちを見て、これが現在の時間だと理解した。私たちは北の国境にいるようで、多くの狼たちが警備に立っている。

目の端で、獣としか言いようのない、というよりむしろ複数の獣が組み合わさったような巨大な姿を目にする。これは古代に「キメラ」と呼ばれるものだろう。その大きさだけでも威圧的で、巨大なライオンを思わせる顎を見れば、これが殺戮マシンであることは明らかだ。その獣が私たちの陣地に近づいてくるが、狼たちは気...