最後の精霊狼

第137話

ーノア―

一夜。

ヴェラから離れて一夜が過ぎただけなのに、彼女を追いかけてベッドに連れ戻したいという思いが、認めたくないほど何度も頭をよぎった。

この数ヶ月間、評議会や王国の統治に忙殺されて彼女とほとんど会えなかった。それが彼女との別離を楽にするだろうと思っていた。だがそれでも、毎晩彼女のいるベッドに戻り、彼女の存在を感じ、眠りにつき目覚める時も彼女の香りに包まれていた。

「陛下？大丈夫ですか？」

顔を上げると、ウィリアムが心配そうに私の上に立っていた。

「ああ」と私は簡潔に答え、再び視線を伏せた。

「評議会が説明していることを聞いておられたのですか？」アンブローズ評議員が尋ねる。

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