最後の精霊狼

第119話

翌朝が訪れ、また一度も休めなかったような気分だ。ベッドの上で伸びをすると、昨夜は服を着替える時間さえなかったことに気づく。急いでバスルームに向かい、顔に水をかけて服を着替える。今日の服装は適当に選ぶ、どうせまた獣の姿で走ることになるのだから。

「ヴェラ？」誰かがテントの外から私を呼ぶ。

「今行くわ！」シャツを着終わりながら叫ぶ。今回はパーカーもセーターも着ない。

城から離れれば離れるほど、天気は良くなる。城の背後にある山々は常に城の周辺の空気に間違いようのない冷たさを与えているが、今や私たちはウルフの領域に近づいているので、天気はより夏らしくなっている。

テントから出ると、アーロが私を...