最後の精霊狼

第116話

「ヴェラ」

「V、行く時間よ」ノアが私の額にキスをする。

私はうめき声を上げる。

「あと10分」私は彼の腕の中でくるりと回って背を向ける。

彼はくすりと笑う。

「さあ、遅れるわけにはいかないし、君はまだ荷造りもしないといけないんだ」

「うぐ」私は体中が異常に重く感じられると言う。

夕食を抜いたので4、5時間はしっかり眠ったはずなのに、それでも体が重くて疲れている。

しぶしぶ、私はベッドから降りると、ノアが私のダッフルバッグを取りに行く。

「今さっき荷解きしたばかりな気がするんだけど」私はまた呻きながら言う。

私はまたいくつかの服と下着を詰め始める。この訪問が波乱に満ちたものになるとは...