最後の精霊狼

第110話

「ああ、やばい」と私は呟く。

キャシアはまったく動いていない。ただ石のように固まって私を見つめている。

「キャシア？どこに行ったの？」彼女の後ろで誰かの声がする。

シャーロットだ。

「いたわ！」と彼女は言い、地面に落ちた食べ物のトレイを見てから私を見る。「あら、まずいわね」

「キャシア、説明できるわ」と私は慎重に彼女に近づきながら言う。

彼女は一歩後ずさり、私は眉をひそめる。

「キャシア、あなたが思っているようなことじゃないわ」シャーロットが私をフォローする。

「思っているようなことじゃない？！彼女が今、どこからともなく花を現したのよ！」彼女はようやく我に返って叫ぶ。

「しっ...