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第72話

一瞬、不気味な静寂が辺りを包み込み、私はそこに凍りついたように立ち尽くしていた。自分の荒い息遣いの音だけが耳に届いていた。

そして、部屋の向こう側から重いブーツの足音が近づいてくるのが聞こえた。

まずい!来る!

隠れなきゃ!彼らから逃げ切れるはずがない。走れば必ず捕まってしまう。

必死に周りを見回し、隠れる場所を探した。

今回は鉢植えは使えない。見つかってしまう。

彼らの部屋の隣に並んでいるドアの一つに急いで向かい、音を立てないように開けようとしたが、最悪なことに鍵がかかっていた。別のドアも試したが、無駄だった。鍵がかかっている。

ダメだ、ダメだ、ダメだ!捕まるわけにはいかない!...