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第19話

「こんな踊り方はないわ。誰もこんな風には踊らないわよ」と私は息を切らしながら文句を言った。

「俺は誰でもない、ローズバッド。俺はアキレス・ヴァレンシアンだ。ルールに従うんじゃなく、作る側だ」と彼は言いながら、私をさらに深く腕の中に引き寄せた。

私はため息をついて諦めた。

他の人たちがダンスフロアを動き回る中、彼は私たちの間に一寸の隙間も許さなかった。本来なら彼の片手は私の手に、もう片方は腰に置くべきなのに、彼の強い腕は両方とも私をしっかりと抱きしめ、胸に押し付けていた。そして私の腕は彼の首に巻き付いていた。彼は自由に動こうともせず、ただゆっくりと揺れるだけ。まるでこの世界で私たち二人を見...