彼の小さな花

第90話

フェリックスの手は拳を握り締め、彼は私をじっと見つめていた。彼の顎は引き締まり、顎の血管が浮き出ているのが見えた。私は唇を舐めた。突然、口の中がカラカラに乾いた感じがした。

私は彼に触れようと手を伸ばした。指先で彼の胸を軽く撫でると、まるで彼が生き返ったかのようだった。それまで彼はあまりにも無表情で、まるで彫像のように静止していたのだ。私の触れるたびに彼は震え、私はゴクリと唾を飲み込んだ。

これを全部彼に話すのが…良いことなのかどうか、わからない。実際、良い気分ではなかった。母が目の前で死んでいる光景が鮮明に蘇ってきた。目の前に広がる血だまりがまだ見えるようだった。アセンシオの手が私に触れ...