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第79話

イチゴ味のオートミールの甘い香りが鼻をくすぐった。丸二日間食べ続けているものだ。フルーツとグラノーラをトッピングして、今か今かと食べる瞬間を待ち望んでいた。屋敷の庭からのスイカズラの香りが排気ガスの酸味と絡み合い、都会生活特有の不思議な匂いを醸し出していた。いつもの昼食場所である鉄製の門そばの風化した石のベンチで、リアムが昼休みに合流するのを待っていた。

彼はまるで音速の爆音のように現れた。その大柄な体よりも先に、笑い声が空気を切り裂いていた。日光が警備員の制服に反射し、彼を顔を飲み込みそうなほどの髭を生やした、笑顔の巨人へと変えていた。

「こんにちは、フローラ!」彼は大声で挨拶した。その...