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第50話

フェリックスの部屋へと階段を上った。ドアが少し開いていたので、そのまま中に入った。フェリックスはベッドに横たわり、天井を見つめながら音楽を聴いていた。私が入ってくるのを見ると、しかめっ面をして顔をそむけた。

「ねえ」と私は小さな声で言った。「怒ってるのは分かるけど、今すごくハグが必要なの」

彼はため息をついたが、少しベッドの上で身体をずらし、私のためのスペースを作ってくれた。私は彼の布団に潜り込み、しばらくすると彼の腕が私を包み込み、強く引き寄せてくれるのを感じた。彼は私の首筋に顔を埋めた。彼の腕に包まれると、すぐに気持ちが楽になった。

「どうしたんだ?」と彼は尋ねた。

「いつも通りよ...