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第29話

私は胃に穴が開いたような感覚で目を覚ました。胃が崩れ落ちるような、底なしの感覚だった。ベッドから出て洗面所に行くとすぐに、吐いてしまった。それでも気分は良くならなかった。仕事に遅れそうだったので、心配する時間はなかった。もし職場で具合が悪くなったら、そのときに対処するしかない。コーヒーは飲まずにヨーグルトだけ食べ、家を飛び出し、最善を願った。父の朝食を作る時間さえなかった。彼は怒るだろうが、それはあとで対処するしかない。

運転中も気分は良くならなかった。でも、この胃の不調は何か変なものを食べたとか風邪をひいたからではなく、不安からくるものだと気づいた。それは良いことだった。

不安なら対処でき...