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第206話

「こうなることぐらい分かっていたはずだ」ジュリアンが私の手を取る。彼は指を絡ませ、私を壁に押し付ける。手を重ねるだけでこんなにも親密なのに、彼が私を見つめる目には危険と約束が満ちている。

「何が?」私はかろうじて囁くことしかできない。

彼は何も言わない。首を傾げて、私をじっと見つめている。突然、私の唇が少し荒れていることを強く意識する。彼がキスをしたら気づくだろうか?私の体中の毛が逆立っていることに気づくだろうか?

その答えを待つ必要はなかった。彼は頭を下げて私にキスをする。ゆっくりと。舌で私の唇を焦らす。そして優しく滑り込み、確実に私に感じさせる、確実に私に彼がキスしていることを知らせ...