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第154話

私がジュリアンを愛する理由なんて全くない。彼の玩具として扱われ続ける理由もない。ヌアのことを知ってから丸一ヶ月が経った。何も変わっていない。私は彼を愛しているから、踏みにじられることを許している。彼は家族を愛しているから、そうするのだ。

時々、自分が彼の愛人のように感じる。みんなそう思っているのは分かる、だってみんな見ているから。私はまだジュリアンの印を身につけている。彼は決して外させてくれない。私も外したくない。どこかに所属している感覚をくれるから。彼に所属することは、なんて甘い苦悩だろう。誰もがジュリアンがヌアと婚約していることを知っている。彼女は時々セントラルに来る。二人は出かける。人...