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第129話

私の手が震えている。

そして、それはタトゥーアーティストにとって決して良いことではない。

こんなことは今まで一度もなかった。ジュリアンに何度もタトゥーを入れてきた。自信を持って、手ぶれなくやってきたし、いつも上手くいっていた。

私は自分の手を見つめている。震える手を見ている。そして、うつ伏せになってスマホでアクションゲームに夢中になっているジュリアンを見る。彼を見ながら、私は震えている。

「どうした?」彼はかすれた声で言い、私を見る。「レオを学校に迎えに行かなきゃならないんだ。だから急いでくれよ、ダーリン。手をじっと見てないで」

「うん」私は囁く。「始めるね」

柔らかいペンを取り、...