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第36章 兄弟二人の対立

木戸達也は彼女を見ずに、淡々と言った。「この件はもう過ぎたことだ」

その言葉の裏には、やはり彼がやったことだという意味が含まれていた。

篠原千穂は思わずため息をついた。

木戸達也は眉をひそめ、ようやく彼女を振り返り、その憂い顔を見て、なぜか腹が立った。「お前、その顔は何だ?まさか俺が余計なことをしていると思っているのか?」

篠原千穂は慌てて首を振った。「もちろん、そんなことはない」

木戸達也の表情は少し和らいだが、彼女はすぐに言った。「でも、学校の先生たちに話して、彼女を退学させないようにしてくれない?」

「何だって?」

木戸達也は急に身を乗り出した。

篠原千穂は驚いて言葉を...