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第26章 水野優子のために彼女を見捨てる

木戸達也は通話中の携帯電話も構わず、水野優子の元へ駆け寄った。

「一体どうしたんだ?治療に専念するように言ったはずなのに、なんで血を吐くことになったんだ?」

水野優子は血の付いたハンカチを後ろに隠しながら、「達也、大丈夫よ。私のことは気にしないで。篠原さんと一緒にいてあげて。怒ってるみたいだから」

立ち去ろうとしていた篠原千穂は、まさか水野優子に名指しされるとは思わなかった。

その言葉に木戸達也は篠原千穂の疑念を思い出し、不満の気持ちが強まった。最近は彼女のことが分かってきたと思っていたのに。

結局、彼女は本質的に利己的なのだ。

「放っておけ」

今度木戸達也は篠原千穂を見向きも...