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第45章

小路の上で、浅井立夏が立っていた。灯りに照らされた彼女の顔は紙のように青白く、小林寧々は彼女が今にも倒れそうな様子を見て、慌てて手を伸ばして支えた。

「立夏……」

浅井立夏は慌てて顔を伏せたが、涙が不意に頬を伝って落ちた。彼女は深く息を吸い込んだ「声を出さないで。早く行きましょう」

彼女の声には泣き声が混じっていた。湖畔から戻る途中で、宮原裕也と堀内治樹の会話を立ち聞きすることになるなんて、彼女は想像もしていなかった。

宮原裕也が自分を愛していないことは分かっていた。でも、この世で最も愛することがあり得ない相手が自分だと、あんなにもはっきりと言い切るのを聞いたとき、彼女の心は深く傷つ...