第1214話苦しい思い出

チャールズはつまずいて、もう少しで転倒するところだったが、とっさに病院のベッドの縁を掴んでなんとか持ちこたえた。

ついさっきまで平気そうだったハンナが、突然、頭を抱え、恐怖に身を縮こまらせながら、怯えきった目でチャールズを見つめている。

一瞬の後、自分が過剰に反応してしまったことに気づいた彼女は、血相を変えてチャールズに手を差し伸べた。「チャールズ、ごめんなさい！　わざとじゃないの！　お願い、怒らないで。ただ、すごく怖くて、思わずあなたを突き飛ばしちゃったの」

チャールズは彼女の異変に気づき、すぐに事態を察した。彼は優しく微笑むと、ハンナの両腕を取り、穏やかな声で語りかけた。「もう過去の...