第150章 山口夏美の家柄を推測

運転手は振り返りもせずに言った。

「勝手にしろ」

「もう、なんですってぇ！」

竹中萌香は怒って喚き散らすと、名残惜しそうに遠ざかっていく大型クルーザーを振り返った。せっかくのチャンスが無駄になってしまったじゃない！

その時、彼女はクルーザーから一艘のスピードボートが降ろされるのを目撃した。

最前列に座っている人物、あれは山口豪の服を着ているように見える！

ボートが自分の方向へ向かってくるのを見て、竹中萌香の心に喜びが湧き上がった。部下に断りに来させたと思ったら、まさか本人が直接迎えに来てくれるなんて。この山口豪という男、本当に面白い性格をしているわ、と竹中萌香はほくそ笑む...