第八十九章

ナタリアは目を瞬かせた。「これ、ケネディの『雪の涙』じゃない。どうしてそんなに平気な顔してるの？」

「何が問題なんだ？」

「こんな貴重な宝石、気軽に身につける人なんている？ もし傷ついたり失くしたりしたら、胸が張り裂けそうになるわよ。」

ナタリアだったら、たとえ家に持ち帰ったとしても、大切な宝物として保管するだろう。

エリザベスはしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。「わかった、好きにすればいい。」

そう言うと、エリザベスはお菓子を食べ続け、スマートフォンをいじり始めた。

キッチンではチャールズとデクランが何かを話しながら、声を上げて笑っていた。

「そういえば、おばあちゃんはど...