第105章 ここで徘徊するのは一体誰か

サラ視点

病院の地下二階。行方不明の患者を探している最中、私は電気室で思いがけず別人を発見した。

懐中電灯の光を当てると、その人物は手で目を覆った。私は驚きに目を見開く。

そこにいたのは、十六、七歳くらいの少女だった。ひどく薄汚れた服をまとい、靴の爪先には大きな穴が開いていて、そこから親指が覗いている。髪はボサボサで艶がなく、もう数日は梳かしていないようだ。

顔色は蒼白で、唇はひび割れている。

一歩近づくと、彼女は怯えて後ずさり、壁に背中を押し付けた。

「私は佐藤サラ。あなたの名前は？」

彼女は二秒ほど躊躇ってから答えた。

「山田ルシア」

スペイン語のような響きだ。

私は...