第104章 幽霊の出る地下2階

エレベーターの扉が開いた瞬間、私と春は二人して軽く目を丸くした。彼は素早く私をカゴの中から引き寄せ、私はその勢いのまま彼の胸に飛び込んだ。

「春、どこへ行くの？」

「上に行くつもりだったんだが、押し間違えたらしい。君は？」

「地下二階よ。小原翔太——これから心臓手術を受ける予定の患者さんが逃げ出したの。地下の暗がりに隠れてるんじゃないかと思って」

「隠れ場所のセンスがいいな。中央監視室から出てきたところか？」

私は頷いた。

あたりを見回す。ここは人通りの少ないエレベーターで、周囲には誰もいない。だから春もこんなに大胆なのだろう。

私は彼のアウター越しに胸に手を添え、甘い声で尋ね...