第920話彼女に中絶を頼んで

「保証するよ、イザベラは出られない」

アレクサンダーの口調は断固としていた。

しかし、ヴィクトリアの心は重く沈んだ。彼がイザベラを永遠に牢獄に閉じ込めておくと、どうして信じられるというのだろう？

ヴィクトリアはアレクサンダーを見上げたが、それは彼女の悲しみを増すだけだった。

彼は今日した約束を明日には平気で破るような男だ。だから、ヴィクトリアは彼が約束を守ってくれるとはとても期待できなかった。

一目惚れというのは、実に美しいものだ。

だが、その美しさはほんの一瞬しか続かない。

「帰ろう。君のおばあ様から催促の電話があった」

「セレナーデ・ヴィラに戻ると伝えておいた」

アレクサンダーは...