60話

エスミは唇を噛み、リリーがその珍しい高麗人参を見ていることに気づいた。

今日この高麗人参を見せれば、リリーがやっと自分を違った目で見てくれるはずだ！

でもリリーがこれが偽物だと知ったら...絶対にそんなことは起こさせない！そう思いながら、エスミはあごを上げ、自信に満ちた目で見つめた。

「テューダー夫人！」エスミは笑顔で声をかけ、リリーに近づいた。

リリーは彼女をちらりと見たが、黙ったままだった。

エスミはそれを気にせず、まだ微笑みながら近づき、少し頭を下げた。「テューダー夫人、お誕生日おめでとうございます！健康と幸せを祈っています！」

彼女の声は甘く敬意に満ちていて、完璧に役を演じ...